役員報酬ってなに?起業する人や経営者が知るべき役員報酬の知識

ビジネスマン
役員報酬という言葉をご存知でしょうか。
会社の経営陣であれば、知っていて当然の知識ですが、そうでない人だとあまり聞き慣れない言葉かもしれません。
ここでは、これから起業するという人はもちろん、会社の経営にも必須な、役員報酬について詳しく解説していきます。

役員報酬とは?

役員報酬とは、会社が幹部職員(役員)へと毎月支払う、特別な報酬のことです。
会社の規模や規定などによって、支払われる金額は大きく異なります。
会社によっては支払額が年間で何千万、何億という数字になり、一般的な従業員とは大きな差になります。

役員報酬はなぜ高い?

役員報酬はなぜ高く、一般的な従業員と大きな差となるのでしょうか。
もちろん、会社によっては、従業員とそう変わらない金額になっていることもあります。
しかし、規模が大きい会社ほど、役員報酬は高額になっていくのが一般的です。
これは、役員と一般的な従業員とでは、立場や背負った責任の違いが理由として挙げられます。

役員とは、取締役や執行役、監査役や会計参与などを指しています。
これらの役員は、会社に雇用される従業員と違い、会社を経営・運営する「雇用する立場」です。
従業員たちや、株主に対しても責任を負わなければなりません。
そのため、その責任や能力などに応じて、従業員よりも高い役員報酬が支払われることになっています。
なお、雇用契約ではなく委任契約を結んでおり、法律上でも全くの別ものとなります。

役員報酬は給与とどう違う?

役員報酬と給与は、混同されることが多い言葉です。
毎月会社から支払われるものであり、所得税として計算する時は、どちらも「給与所得」の扱いとなるため、ややこしくなっています。
しかし、役員報酬と給与は、特に税務上で別の扱いになり、明確に区別されています。

言葉の意味の違い

給与とは、会社が雇用している従業員に対して支払う、労働の対価です。
労働に見合った金額が支払われるもので、残業代や諸手当などを含みます。
また、昇進もあるため、増減することは珍しくありません。

一方で、役員報酬は、雇用している側の役員への報酬となります。
役員は従業員と違い、給与を受け取りません。
役員報酬のみを受け取ることになり、毎月定額なのが特徴です。
昇進はなく、残業代が支払われることも、ボーナスや諸手当が付くこともありません。

従業員に支払われる増減のある対価が給与、役員に支払われる一定額の報酬が役員報酬だといえるでしょう。

税法上の違い

役員報酬と給与は、税法上では全くの別物となります。
役員報酬は、さまざまな制限を設けなければならないためです。
なぜなら、会社を経営する側である役員は、自分たちの役員報酬をある程度好きに決定できます。

役員を親族で固めていれば同意も得られやすいので、特に経営に貢献していない親族役員に、高い報酬を支払うこともできるでしょう。
さらには、決算期間に、会社の税金を調整する目的で、役員報酬を増減するといった使い方もできなくはありません。

ですがそのような使い方は、会社や社会に悪影響を及ぼします。
そのため、簡単に役員報酬の金額を変更できないよう、多くの制限がかかっています。
たとえば、従業員に支払う給与は損金として扱えるので税金を減らせます。
しかし、役員報酬は毎月定額が支払われていないと損金として認められず、税金の削減はできないようになっています。

役員報酬のことで困ったら

役員報酬は、詳しくない人も多い言葉です。
ルールも複雑で、一度決めたら簡単には変更できないため、高すぎる金額や低すぎる金額に設定すると、後々の経営にも響きます。
適切な額はいくらなのか、また、上手な活用方法があるかなど、素人ではわからないことも多いでしょう。
そんなときは、専門家に相談するのが大切です。
これから起業する人はもちろん、現在会社を経営している人でも、わからないことがあれば専門家に相談してみましょう。
専門分野でないことにあれこれ一人で悩むよりも、しっかりとした知識がある人からレクチャーを受けた方が、時間の短縮になり、正しい知識で前進することができるはずです。